▼マルセル・デュシャン[Wikipedia]
マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887年7 月28日 - 1968年10 月2日)は、フランス出身でのちアメリカで活躍した美術家。
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■「便器」を使った挑発的な作品
「レディ・メイド」と呼ばれたデュシャンの一連の作品で、最も有名なのが1917年にニューヨークで発表された《泉》という作品です。彼はこの年、ニューヨーク独立芸術家協会が無審査を掲げて主催した展覧会の実行委員長を務めており、作品を匿名で出品することにしました。磁器製の男性用小便器に、自分の名前ではなく「R.MUTT 1917」とサインを書き入れて展覧会に送りつけました。
サインの「R」は馬鹿者という意味のある「リチャード」の略で、「MUTT」は便器の製作会社「Mott Works」をもじったものなので、これは「馬鹿者のマット」と読み替えることができます。すなわち、既成の概念や手法を踏襲しただけの作品をつくり、それにサインをするような行為は愚かであり、便器のような既製品に「馬鹿者のわたし」とサインをするようなものだ、といったような意味が含まれていると言えます。デュシャンはただ名前を隠したのではなく、そこに挑発的なメッセージを込めたのです。
また、タイトルの「泉」は、便器の見方に異なる視点を与えているだけではなく、有名なドミニク・アングル(1780-1867)の作品《泉》(1856)を引用しているとも言われています。しかし、同じ「泉」でも全く異なる趣の作品ですから、アングルにとってはいい迷惑でしょう。これもやはり、伝統的な価値観を挑発する仕掛けだったのです。
天才肌の芸術家。
※Marcel
Duchamp, 1887 - 1968: Art As Anti- Art(Amazon)
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